千葉市動物公園とゴリラたちが紡ぐ物語|第3回
2000年7月3日。
上野動物園で誕生したオスの「モモタロウ」。
2002年7月8日、2歳になったばかりのモモタロウは、母・モモコとともに千葉市動物公園へやってきました。
当時の飼育担当者の記憶に残っているのは、素早く走り回り、ときには飼育担当者をハラハラさせるほど活発だったモモタロウの姿です。
今回は、当時の飼育担当者へのインタビューをもとに、幼いモモタロウのやんちゃな日々と、千葉市動物公園で過ごした約6年間をたどります。
2歳でやってきた、元気いっぱいのモモタロウ

2002年7月8日。
上野動物園で生まれたモモタロウが、母・モモコとともに千葉市動物公園へやってきました。
このとき、モモタロウは2歳になったばかり。
千葉での日々が始まると、飼育施設の中を勢いよく走り回る姿が見られました。その動きはとても素早く、母・モモコが制止しようとしても、振り切って走り続けることもありました。

当時のモモタロウは、とにかくスピードがあって、よく走り回っていました。モモコが制止しようとしても、それを振り切って走っていましたね。
飼育担当者もハラハラ!幼いモモタロウの成長記録

千葉市動物公園で活発に動き回っていたモモタロウ。
その行動には、飼育担当者が思わずヒヤヒヤする場面もありました。
閉まりかけた扉をすり抜ける
飼育施設には、上下に開閉する動物用の扉がありました。
扉が閉まりかけた、その瞬間。
モモタロウは、わずかに残った隙間を通り抜けようとします。
「ぶつかったり、挟まれたりしないだろうか」
そんな心配をよそに、閉まりかけた扉を通ろうとするモモタロウ。その姿は、飼育担当者をヒヤヒヤさせるものでした。
細いケヤキの木の上まで登る
屋外展示場には、1本のケヤキの木が立っていました。
当時の高さは約2〜2.5m。今よりもずっと細い木でした。
モモタロウが、その木の一番上まで登っていくと、木がゆらゆら。
細い幹がモモタロウの重みで揺れ始めました。

落ちてしまわないだろうかと、木の上のモモタロウをハラハラしながら見守っていました。
ボールやハンモックで遊ぶ姿も
扉を通り抜けたり、木の上まで登ったり。そんなモモタロウは、遊具を使って遊ぶこともありました。飼育施設に設置されたハンモックや、大きなゴム製のバランスボール。
モモタロウは、こうした遊具でもよく遊んでいました。
勢いよく走り回り、木に登り、遊具で遊ぶ。
幼いモモタロウの活発な姿は、年月が過ぎた今も、飼育担当者の記憶に残っています。
学びのポイント|環境エンリッチメントとは
環境エンリッチメントとは、動物が本来持つ多様な行動を発揮できるよう、飼育環境を工夫する取り組みです。動物園では、遊具を設置したり、木登りができる環境を整えたりするなど、動物の行動の選択肢を増やすことで、よりよい飼育環境づくりを目指しています。
成長したモモタロウ、再び上野へ
2002年から2008年までの約6年間、千葉市動物公園で過ごしたモモタロウ。
幼い頃は勢いよく走り回り、細いケヤキの木の上まで登っていたモモタロウも、年月とともに体が大きくなっていきました。
そして、2008年12月2日。
モモタロウは母・モモコとともに、上野動物園へ移動することになりました。
この移動には、ゴリラの繁殖だけでなく、モモタロウの成長に関わる事情もありました。
当時、千葉市動物公園にはモモタロウと同居できるメスのゴリラがおらず、モモタロウは母・モモコと暮らしていました。
成長するなかで、母親以外のゴリラと接し、社会性を身につけることも必要になっていたのです。
では、なぜ母親のモモコも上野動物園に移動することになったのでしょうか。
モモコの移動は、上野動物園での繁殖を目的としたものでした。
当時は両園の間でゴリラの移動計画が進められており、上野動物園で飼育されていたオスの「ケンタ」とメスの「ローラ」を、千葉市動物公園へ迎える予定もありました。
しかし、新たに2頭を迎えると、千葉市動物公園の飼育施設では収容能力を超えることが想定されていました。
こうした事情が重なり、モモコとモモタロウは母子そろって上野動物園へ移動することになりました。
かつてモモコが繁殖のために向かった上野動物園。
今度は、千葉で大きく成長したモモタロウも、母とともに上野へ向かいました。

ケンタはどんなゴリラ?
ケンタは、1977年生まれと推定されるオスのニシローランドゴリラです。
京都市動物園で暮らしたのち、2004年に上野動物園へ移動しました。2008年12月には、ゴリラの繁殖を目指す取り組みの一環として、メスのローラとともに千葉市動物公園へやってきました。
千葉市動物公園では、相性を考慮しながら繁殖に向けた取り組みが行われましたが、繁殖には至りませんでした。
その後も千葉市動物公園で暮らし、2016年6月2日(推定39歳)に病気のため亡くなりました。
次回予告|世代を超えてつながる命―モモタロウとモモカの物語
2008年、千葉市動物公園を離れたモモタロウ。
その後、2010年に京都市動物園へ移動し、やがて父親となりました。
一方、2025年には、モモコの娘「モモカ」が千葉市動物公園へやってきました。
かつてモモコが暮らし、モモタロウが幼い日々を過ごした千葉市動物公園。
そこでは今、モモカとモンタによる新たな繁殖への取り組みが進められています。
次回の最終回では、モモタロウがつないだ次の世代の命と、モモカの来園によって始まった新たな挑戦をたどります。

